アニメの世界を走る銀河超特急999号は自動運転になっていて、顔の見えない謎の車掌さんが客車に度々登場します。
しかし2009年9月、大井川鉄道で走った銀河超特急999号は当然ながら機関士さんの運転で走りました。
あのレトロな蒸気機関車の運転は、さぞかし難しいことでしょう。
蒸気機関車の運転にはどんな手順でどのような操作が行なわれているのでしょうか。
大井川鉄道の機関士さんのお話を例に、順に説明したいと思います。
前にお話したように、蒸気機関車は多くの人の手によって時間をかけて発車準備が行なわれます。
火室内では火力がぐんぐん上がり、ボイラーの水が沸騰して蒸気が出来上がります。
圧力計のメーターもどんどん上がりいよいよ機関車に命が吹き込まれるのです。
各点検を済ませたら、信号を確認して出発です。
1.ブレーキハンドルをゆるめ、レギュレーターハンドルを手前に引くと、ゆっくりと機関車が動き出します。
ブレーキは上下にあり、上は機関車のみにかかり下は列車全体にかかるブレーキです。
レギュレーターハンドルは自動車で言うとアクセルに当たる部分です。
左手は砂まきレバー(車輪が空回りしないため)を握っておきます。
2.機関車が動き出したら、逆転ハンドルを操作します。
逆転ハンドルは機関車の走る方向を変えるだけでなく、勾配や速度などによって調整するギアのような役割も持っています。
3.停車時間が長い場合はシリンダーに送られた蒸気が冷えてしまったり、蒸気が水滴になってシリンダーに溜まったりするため、足元のドレインハンドルを操作してこれらを排出します。
出発時に機関車の下からシューッと蒸気が噴き出すのを見たことがあるかもしれませんが、この操作を行なっているためです。
4.機関車が順調に動き出した後も、常に火力を調整して蒸気の圧力を一定に保っておく必要があります。
そのため圧力計を確認しながら石炭を焚いたりボイラーに水を送ったり、といった操作が欠かせません。
経験豊富な機関士と機関助士のチームワークがあってこそ、安全に順調に蒸気機関車は走ることができるのです。