工事用トロッコ軌道の井川線

2010年04月15日 22:46

銀河超特急999号が走ったことでも話題になりSLファンやアニメファンの関心を集めた大井川鉄道ですが、SLが走る大井川鉄道本線の先、さらに奥地へと向かう井川線についてはどのくらいの人が知っているのでしょうか。
鉄道全般に興味がある人は日本で唯一のアプト式鉄道としてよく知っているかもしれませんし、銀河超特急999号に乗車した人の中には終点の千頭駅からさらに奥へ伸びる路線に興味を持った人がいるかもしれません。

この井川線では、同じ大井川鉄道でも金谷駅~千頭駅の大井川本線とは異なった趣きを醸しています。
なぜなら、井川線はもともとダムや発電所を建設するために設置された工事用トロッコ軌道だからです。
車内では天井に手が届きそうなほどの小さな車輌が井川線を走ります。

井川線は奥大井の渓谷を走るため、蒸気機関車の車窓から見えた広大な大井川ではなく、断崖絶壁の下を流れる急流を目にすることになります。
寸又峡温泉への下車駅である奥泉駅を過ぎると、アプトいちしろ駅に到着します。
ここから先が、日本唯一と言われるアプト式鉄道です。
アプト式鉄道では、線路のレールの間にあるギザギザのラックレールと、アプト式機関車の車体下に取り付けられた歯車が噛み合いながら急勾配を上っていきます。
この勾配は、1000m水平に進む間に90m上昇するという日本一の急勾配です。
ピョーッという甲高いホイッスルはスイス国鉄から親善として贈られたもので、本場の登山汽笛を奏でてこの急勾配をグングン上っていきます。
大井川の水面があっと言う間にはるか眼下に遠ざかると、アプト式鉄道の力強さを改めて感じてしまうのです。

旅行を計画している人には紅葉や温泉やダム散策など見所も多い井川線の旅も、おすすめですよ。

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