コンパクトなC56形蒸気機関車

2010年04月05日 20:40

現在、日本の中で運転用蒸気機関車を最も多く保存しているのは大井川鉄道で、計6両を保有しています。
特別列車「銀河超特急999号」として走ったC11形をはじめ、C10形やC12形、C56形が保存されていますが、ここではポニーの愛称で親しまれているC56形蒸気機関車の紹介をしたいと思います。

まずC56形機関車がなぜコンパクトなのかというお話から…
全国各地で鉄道路線の建設が進められた大正時代から昭和初期の頃には、経費をなるべくかけずに多くの路線を建設するため、特にローカル線などでは線路の規格を低くして工事が行なわれました。
その結果、大きさや重量の関係から線路に入れる機関車が限られてしまったため、これらの路線を走る機関車として小回りのきくタンク式C12形が1932年に完成しました。
しかし燃料の積載量が少ないC12形では距離の長い路線を走るには使いづらいため、C12形の多くの部品を同じ設定にしたテンダー機関車C56形が1935年に作られたのです。
この機関車は1軸にかかる重さがわずか11tと、当時ではもっとも軽い機関車となりました。
C56形は転車台のない線区での小運転や操車場での入れ替え作業時などに、バック運転でも前方がよく見えるようにテンダーのサイドを切り取った形をしています。
この形の機関車は160両以上が製造されましたが、戦争が激しさを増していた時代もあり多くが軍の要請でタイやジャワ島、中国へと出されたため、その多くが戦場での犠牲者となってしまいました。
タイから帰還した2両のうち1両は靖国神社の境内で、もう1両は大井川鉄道で保存されています。
C56形160号機については、最後に八ヶ岳山麓の小海線で活躍し、日本の最高地点にある路線を走る小型機関車ということで「高原のポニー」の愛称で親しまれていました。

ちなみに大井川鉄道ではC11形が銀河超特急として走行しましたが、実際のアニメで登場する999号はC62形がモデルとなったと言われています。
C62形についてはまた後ほど紹介したいと思います。

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